太上十三経 老子真伝(10)

太上十三経 老子真伝(10)
孔子は老子に「わたしは詩書、礼楽、易象、春秋を研究して、七十二人の君主に仕えて来ました。先王の道を論じて周召で行われていたことを明らかにしましたが、一人の君主も用いることがありませんでした。それは道を説明することが難しいからでしょうか」と聞いた。老子は「六経には先王の行ったことが述べられています。いまそれを実践することがどうして出来るでしょうか。今、貴殿の言うのはそうしたことなのです。先王の行ったことをそのまま実践するのでは無く、それと同じ内容のことを行うのです」と言った。孔子はこれを聞いて三日間、誰とも話をすることが無かった。子貢が不思議に思って理由を聞いたところ孔子は「鳥はよく飛ぶものであることは知っている。魚はよく泳ぐものであることも知っている。獣はよく走るものであるとも知っている。走るものは網で捕らえることが出来よう。泳ぐものは釣ることが出来よう。飛ぶものは射ることが出来よう。しかし風雲に乗って天上高く昇るものをどのようにして捕えたら良いのか私は知らない。老子を見るとそれはまるで龍のようであったのだ」と答えた。〔集史遷荘子〕
老子は周に長く居たが、その徳が衰えたので青牛に曳かせた車に乗って西の関所である秦関を出て崑崙山に登った。関令(関所の役人)の尹喜は紫の気のあるのを遥かに見て老子の来ることを知り、四十里の道を掃き清めて老子を迎えた。そうして老子が到着すると尹喜は「翁はまさにお隠れになろうとなさっていますね。どうか私のために本を書いて下さい」と言った。そこで老子は関に留まっている間に『道徳(経)』五千余言を著し、すべてを尹喜に託して去って行った。

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