テーマ:読書

森正人『四国遍路』

四国遍路は、八十八ヶ所の弘法大師の霊場への巡礼行であるが、これがどのような経緯で成立したのか、歴史的には明らかではない。 また、弘法大師とのかかわりも、どのようにして現在のような形になったのかも判然とはしない。 ただ、四国を巡る行は、平安時代頃からあったらしい。 近世以前には、病気などで地域の共同体に住むことを許されな…
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吉田明乎『高野山に伝わる お月さまの瞑想法』

真言密教に伝わる月輪観を紹介している。 月輪観は、よく阿字観を解説した本であわせて触れられる。いうならば阿字観の基礎となる瞑想法である。 ただ本書は、月輪観を「月の瞑想」として、独立した形で説明をする。 日本でも、古来より「月」への信仰があった。こうしたことを基盤にしているところが興味深い。 真言宗の瞑想法に神道…
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船橋洋一『カウントダウン・メルトダウン』(下)

『カウントダウン・メルトダウン』を読み終えて、思い出した本がある。『失敗の本質』である。これは第二次世界大戦において、どうして日本軍が負けたのか、を分析した本である。 旧日本軍と、今回の3・11の対応が、まさに酷似していることは、『カウントダウン・メルトダウン』の下巻でも触れてある。 原因となるのは「現実」を見ない、というこ…
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船橋洋一『カウントダウン・メルトダウン』(上)

3・11の時、当事者は経験と情報のない中、判断・決断をすることを求められた。 現在からすれば、適切であったものもあれば、そうでないものもあった。 ただ、当初は特に指揮命令系統が、混乱していたことが、早期の対処を困難としたことは、本書を見れば、よく分かる。 武術においては「意」は君主であり、「気」は臣下とされる。この指揮…
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澤井啓一『山崎闇斎』

山崎闇斎は、垂加神道を創始した儒家である。 垂加神道のおもしろさは、中世の神道諸説を、朱子学によって説いている点である。 これは普遍的真理としての朱子学を、日本における「真理」である神道のフィルターを通すことで、日本独特の朱子学が生まれる、と考えて生まれたのが、垂加神道である、ということもできるであろう。 本書は朝鮮儒…
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フロム『愛するということ』

NHKで「100分de名著」という番組がある。 ここで紹介される本は、必ず読むようにしている。前に読んだ本も、また放送を視て読むと面白い。 『愛するということ』は、精神分析を研究したフロムの名著である。半世紀ほども前の本であるが、まったく古さを感じさせない。 個人的にタイトルは「仁の技術」と訳したい気もする。人が人とし…
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津村記久子『これからお祈りにいきます』

本書には「サイガサマのウィッカーマン」と「バイアブランカの地層と少女」が収められている。 なにやら題名からして、意味不明であるが、これらの語については、ネットで検索すれば、すぐに意味を知ることができよう。 ストーリー展開は軽妙で、「現代日本」の若者や家族が、よく書けている。 以下、おもしろかった個所を紹介しておこう。 …
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佐藤あつ子『和 田中角栄と生きた女』

さきの選挙で田中眞紀子は落選し、小沢一郎も、すっかり影が薄くなってしまった。 もはや、田中角栄の残影さえも、政界から消え去ろうとしている。 「昭」とは、角栄の愛人で、「越山会の女王」ともいわれた佐藤昭(のちに昭子)のことである。 この本からは、とにかく戦後という時代の中で、懸命に生きてきた角栄や昭の世代の熱気のようなも…
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出口王仁三郎『霊界物語』寅の巻

『霊界物語』も、三巻目になって、平板な神々の攻防に加えて、教訓的なものも含まれるようになってきた。 ここに来て、ストーリーの展開などに、ややこなれた感をみせている。 王仁三郎は、陶器を焼き、絵を描き、書を認め、そして膨大な文章(『霊界物語』)を書いている。 どれも、技術は素人の域を出ないが、独特の感性と、膨大なエネルギ…
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出口王仁三郎『霊界物語』丑の巻

『霊界物語』の二巻目である。ここでも、神々の争いが、語られている。 話の展開は、子の巻で示されたパターンと、ほぼ同じである。 悪神により、裏切りが生まれ、それが戦いへと進み、最後には、善神の働きで、争いは終焉を迎える。 いうならば、テレビドラマの「水戸黄門」のようなものである。 同じようなパターンの繰り返しで、個…
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出口王仁三郎『霊界物語』子の巻

ある機縁が熟して『霊界物語』を読み始めることとなった。 現在は、ネットでも全文が公開されており、これまでも、所々は『霊界物語』を読んだことはあるが、通して読むのは今回が始めてである。 文章は、かつての「立川文庫」風の講談調であるから、難しいことはないが、いまのほとんどの人は、こうした文章には、慣れていないので、読みづらいこと…
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江國香織『号泣する準備はできていた』(1/100)

最近は、100冊が、マイブームである。 岩波文庫の100冊に続いて、新潮文庫の100冊も、読破を目指す。 岩波の方は自分で選んだものであるが、新潮文庫は今年の100冊の指定に従うことにした。 個人的には、小説は古典しか読まないが、現代小説もおもしろかった。 人は、社会に生きる自分と、本当と思っている自分自身のあり…
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『源氏物語』一 新潮日本古典文学集成

日本文学の最高峰ともいわれる『源氏物語』であるが、内容はハーレクイーンなどと、変わらない(おそらく・・・)。ハーレクイーンは読んだことがないが、要するに『源氏物語』は「恋愛小説」なのである。 おもしろいことは、おもしろいが、取り立てて読むほどの内容ではない。 ただ国学や文学の研究材料としては、ふさわしいであろう。 特に…
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足利健亮『地図から読む歴史』

ひとくちに「歴史学」といっても、その中には、いろいろな分野がある。政治史、経済史、それにわたしの専門である思想史などなどもある。 その中でも、一般にはあまり知られていないのが、歴史地理学ではなかろうか。 日本の各地には、空からみると区画のあとが、明らかであるところも少なくない。これは、古代に実施された条里制の名残りであるとも…
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読書『おくのほそ道』

3月に芭蕉記念館に行って『おくのほそ道』の諸本をみて、改めて同書を読みたくなり、角川文庫の『新訂 おくのほそ道』を購入する。 岩波文庫版もあるが、角川版を選んだのは、ブックオフで、100円で出ていたからである! 角川版は、「おくのほそ道」そのものは、60ページほどで終わり、本文評釈、発句評釈、曽良随行日記、解説、芭蕉略年譜、…
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読書『富士塚ゆる散歩』

富士塚とは、江戸を中心に、その周辺に、多く点在する富士山にみたてた人工の小山のことである。 江戸時代の終わり頃から富士信仰は、爆発的な流行期を迎える。こうした流れの中で、富士塚もつくられていく。しかし、その多くは土地開発などで、壊されたりもしたようである。 なによりも、読んでいておもしろいのは、著者(有坂蓉子)の富士塚への「…
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小倉美恵子『オオカミの護符』

日本狼は、近代になって、忽然とその姿を消してしまった。かつては神と崇められた動物が、忽然と消えてしまったのである。 オオカミは、古代においては「大神」とされたのであり、畏怖と信仰の対象であった。こうした日本古来の信仰が、武蔵御嶽神社や三峯神社などに伝えられている。 稲荷信仰では、狐がよく知られているが、あるいは本来は、狐では…
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正木晃『マンダラとは何か』

日本に伝わったのは、中期までの密教であるが、どうも空海は、密教の持つ「危険」性を、見抜いていたのではないかと思われる。 密教の持つ危険性が、顕著となるのは、後期になってからである。後期の密教では、大乗仏教の枠組みからの逸脱が生じる。チベットの学僧たちは、逸脱する密教(タントラ)との限りのない闘い(大乗仏教との理論的な整合性を求めた…
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正木晃(編)『秘史 密教のすべて』

インドに発した密教は、日本とチベットで、栄え、後代へと残ることとなった。 日本に伝わったのは、中期の密教であり、チベットには後期の密教が主に伝えらえた。 中期の密教と、後期の密教のどちらが「完成形」に近いか、という点については、立場によって諸説があるが、仏教としての密教ということであれば、中期密教が、もっとも完成された形とす…
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山本信太郎『東京アンダーナイト』

赤坂にあった高級ナイトクラブ・ニューラテンクォーターといえば、力道山が刺された場所として有名であった。しかし、今日では、そうした事件のあったことすら知る人は、多くないのかもしれない。 折口信夫は、「ごろつき」が日本の文化を創ってきた、と述べている。通常・一般とは、違うところでこそ文化の創造がなされるというのである。 本書に記…
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七尾和晃『沖縄戦と民間人収容所』

沖縄には、地割制という制度があった。これは土地を共有し、そこから税を納めるというものであり、それぞれの村は、自給自足の生活をしていたという。 また、村の民は、かってに他村に移住することも、他の村の者と、結婚することもなかなか難しかったらしい。 そうであるから村ごとに特色のある生活のしかたが保持されており、しゃべり言葉において…
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万城目学『プリンセス・トヨトミ』

おもしろい、という以外になにもない作品であるが、活字のおもしろさを、ある意味において最大限に引き出しているということができるであろう。 映像ではなく、活字であるからの面白さというものがある。 それは、「想像」することのおもしろさである。あるいは「夢想」「妄想」といってもよいのかもしれない。 子供のころからリアルな映像の…
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空海『秘蔵宝鑰』

久しぶりに『秘蔵宝鑰』を読んで驚いた。これが実におもしろいのである。 『秘蔵宝鑰』が、真言宗の優位性を説いたものとして読んでいた頃には、まったくおもしろさは感じなかったが、これを「オカルト」の解説書として読めばじつにおもしろい。 密教とは、我々がどのようにしても認識することのできない「大日如来」の教えに基づくもので、それは『…
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ティエリー・ザルコンヌ『スーフィー』

どのような教えにおいても、独特な読み方をしようとする試みは生じるものである。 しかし、それは独特であるが、ゆえに必ずしも広く認められることはない。ために神秘主義となるわけである。 独特な解釈は、神秘主義とならなければ、解釈をめぐっての争いとなる。そして、その争いに敗れた方は、神秘主義となって、密かに伝えられたりもする。 …
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『モレスキン(人生を入れる61の使い方)』

手帖やノートの使い方にかんする本は、実に多い。 だれもが、成功者の使い方をマスターして、自分も成功をつかみたいと思うのであろう。 ただ、ほとんどの人は、成功者の手帖やノートの使い方を、まねしようとしても、挫折してしまうようである。 これは、手帖やノートの使い方は、それを使っている人の行動パターンに準じているからに他なら…
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松崎憲三(編)『東アジアの死霊結婚』

死者と死者、あるいは生者と死者の「結婚」を、「死霊結婚」という。 「死霊結婚」は、日本では青森を中心に、ムカサリ絵馬などで、知られているが、意外なことに、こうした習俗は、近代になってからであるという。 また、中国や韓国、沖縄では、「イエの存続」のために、死霊結婚が行われる。 日本であれば、独身でも、養子を迎えれば、イエ…
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七尾和晃『闇市の帝王』

戦後の混乱期、東京では非合法な活動をするアメリカ人、中国人、朝鮮人、そして日本人がいた。 これらの人たちに関係する組織は、現在も活動をしているところが少なくなく、なかなか実態がつかめないようである。 空手の神道自然流を興した小西康裕のスクラップ・ブックには、確か池袋の闇市で「唐手八段」が、おお暴れをしたという新聞の切り抜きが…
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映画「ショコラ」

先に書いた『女性たちが創ったキリスト教の伝統』の中で、『ダ・ヴィンチ・コード』と共に紹介されていたのが、『ショコラ』である。原作はベスト・セラーであったとか。 原作と映画とは、違いがあるようであるが、設定はいうならば「風の又三郎」と同じで、「訪れ神」をベースとするものである。 風の強い日、放浪の母と娘が小さな町を訪れる。そし…
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テレサ・バーガー『女性たちが創ったキリスト教の伝統』

西洋社会における『ダ・ヴィンチ・コード』の衝撃とは、秘密結社の陰謀云々よりも、キリスト教が女性中心に展開してきた、という部分にあったようである。 「女性」ばかりをいうと、「男性」との性の対立のように捉えられてしまうことにもなりかねないが、「女性」が象徴しているのは、じつは「自然」なのである。つまり、キリスト教の中では、常に否定の対…
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岡本太郎の宇宙4「日本の最深部へ」

岡本太郎との「出会い」は、大阪万博の時であった。 万博で最も関心があったのは、太陽の塔とタイム・カプセルであった。そのときは、太陽の塔が、岡本太郎の作ったものという認識はなかったが、ひじょうに惹かれるものがあった。 岡本太郎の日本文化論は、じつに面白い。これだけの「背景」があったからこそ、優れた作品を生み出すことができたので…
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