第九十二話 中国武術における拿法と打法(3)

第九十二話 中国武術における拿法と打法(3)
蟷螂拳は蟷螂が蝉を捉える動きを見て王朗なる人が考案されたといわれる。この技法は蟷螂捕蝉式と称され蟷螂拳を代表する構えとなっているわけであるが、これを発案した王朗はそれまで勝つことのできなかった少林拳を使う僧を打ち負かしたとされる。それは蟷螂拳において技術的な革新がなされたことを意味している。この蟷螂捕蝉式の何が革新的であったかとえば、それは相手を掴んで攻防を行うという手法であった。相手を掴んでの攻防においては中心線のガードにそれほど意を用いる必要がない。攻防の最初で相手を補足しているからである。また攻撃と相手を補足することで両手は塞がってしまっているという現実もある。一方、打ち合いだけを行うシステムであれば、常に中心線をガードしていなければならない。ボクシングなどでガードする腕が下がると疲労が限界に来ているサインとされるが、これほど中心線をガードすることは求められるわけである。一般的な拳術では相手を掴んで攻防を行うという発想はないので、蟷螂捕蝉式の発案はその意味でも革命的であったわけである。