第九十二話 中国武術における拿法と打法(2)

第九十二話 中国武術における拿法と打法(2)
さて、ここで考えてみたいのは漢族の武術を「打」法、回族の武術を「拿」法に優れたものとして、そのシステム(門派)の特徴を考えてみたいのである。たとえば漢族の中で伝承されて来た蟷螂拳であるが、それには拿法に優れた特徴を有している。回族の拿法を使うシステムにおいては「中心軸を空ける」という特色がある。これについては後に触れるが、伝統的とされる七星では中心軸のガードがやや甘く、革新的とされる秘門では固くなっている。それは秘門は「閉門」が本来であるとされていることでも分かろう。蟷螂拳で特徴として認められるのは「中心線を空ける構え」であり、こうした構えは通臂拳や形意拳を参考にしたとされる八歩蟷螂拳などでも顕著である(ここに述べる論旨から注意を促しておくなら通臂拳も形意拳もともに回族の武術と関係の深い門派ではある)。秘門は蟷螂搴の中でも細密な技法を用いることで知られているが、その「細密」とは中心軸を守る形での攻防が展開されるということでもある。ただ蟷螂搴を代表する構えである蟷螂捕蝉式が蟷螂が蝉を捉えるところから発案したとするのであれば、蟷螂の「斧」は体の左右の側面にあるのであるから、もともと「中心線」は空いていることになる。