第九十二話 中国武術における拿法と打法(7)

第九十二話 中国武術における拿法と打法(7)
イスラム系統の武術の特色としては「動作が簡素であること」「一打一打に分かれていて連環性が強調されないこと」などがあげられる。そうしたことからすれば形意拳などもイスラム系統の武術であったことが想像される。イスラム系統の形意拳としては心意拳があり、形意拳はかつては心意拳と称していたとの伝承もあることからすれば、形意拳はイスラム系統の心意拳から漢族の中で練習されるようになって形意拳となったと考えらえよう。おそらくは漢族の中で練習されるようになって連環拳や四把捶のような連環した形式の套路が増やされたものと思われる。形意拳も相手を掴むことを想定すると劈拳の「位置」付けも見えてくる。劈搴は五行搴の中にあって唯一「掌」を用いる。それは劈拳が相手を掴むための練習であるためである。そのために劈拳だけは「掌」を用いて練る。

第九十二話 中国武術における拿法と打法(1)

第九十二話 中国武術における拿法と打法(1)
中国武術は漢族(漢民族)を中心に確立されたものであるが、それだけではない。大きな影響を与えたものに回族(イスラム系)や満州族などがいる。回族では日本でもよく知られている八極拳や中国で広く青少年を中心として武術の基礎を習得するために練習される譚腿などがある。回族は清真寺というイスラム教の寺院を中心にまとまっており、しばしば漢族との対立が生じたようで、その中で育まれた武術は「最強」を謳われることが多い。また清代の支配民族であった満州族はモンゴル相撲に秀でており、呉家太極拳を考案した呉家は満州族で、投げ技をベースとした独特なシステムを構築している。武術を練習する者は民族云々には関係なく優れた技術があればそれを習いたいと思うもので、そうした中で漢族、回族、満州族などの武術は広い中国大陸の中にあっておおいに交流を持つことになる。