古道011

太上十三経注釈(221)老子 第十七章

人は能力にとらわれることで、他人より上に出ようとする心が強くなるものである。そして、それが苦しみとなるわけである。老子はそうした競争の世界に身を置くことは好ましくない、と教えている。たとえある種の能力があっても、それにとらわれないようにすべきなのである。淡々と自分の道を行けば良いのであり、他人と比較をしたり、あえて競争をしたりする必要はない。

かつら男

『怪談百物語(桃山人夜話)』

かつら男(桂男)は、月を長く眺めていると、かつら男が手招きをするの出逢ってしまう。そうなると命を縮めるという。なんとも優雅な感じのする妖怪である。しかし、一方で月は不老不死の象徴でもある。月より得られる「水」は「おちみず(変若水)」として、永遠の命の水とされる若水(わかみず)信仰が月にはある。

かつら男の話は「ながめる」という行為とも関係しているように思われる。古代において「ながめる」という行為は、往々にして魂が身体を遊離しやすい行為とされていた。心ここにあらず、ということになりやすいわけである。そうしたところから美しい月をながめ過ぎると、魂をもっていかれてしまう、とする考えが生まれたものと思われる。美しい月に心をよせて命をもっていかれるのであれば、それもまた良いようにも思われる。
江戸東京博物館 大妖怪展